無人島・枝手久島・風葬跡探検記
奄美大島、宇検村にある無人島・枝手久島には古くからの風葬跡があるという。
色々な地図にそのことは書かれているのだが、具体的な場所は良く分からなかった。
民俗学の研究をしている友人に尋ねると、27kmも離れた与路島に伝承があり、場所も特定されているという。
5月末の海の穏やかな日に、その枝手久島にあるという風葬跡へ探検に行くことにした。

宇検村の東シナ海に面した船越海岸から出艇。

全くのべた凪だと思っていたのだが、北東からやや強い風が吹いていて、少し白波が立つ。
風に流されるように、40分ほど漕いで問題の場所に。
この海蝕洞のトンネルをくぐり抜けると、その奥に風葬の跡があるという。
まるで冒険物語の舞台のような、演出満点の出来すぎた地形だ!


トンネルを抜けると深い入り江になっていて、その奥に、奥行きの深そうな洞窟があった。
どうやら、ここが風葬跡なのか?

カヤックでゆっくりと入って行く。

洞窟の入り口から15mぐらい入ったところに浜があったので上陸した。

ここから先はまだ奥がありそうだが、外の光が入らないので真っ暗である。
そして、ここでマズイことに気がついた。あろうことか、今日はヘッドランプを持ってこなかったのだ!
さあ、どうしよう?ここから先は足元も見えない程の暗闇である。でも、ここまで来て引き返すのももったいないし…。色々と考えて、カヤックに防水バッグに入れたPadminiがあったのを思い出した。
早速、取り出して、描画アプリを立ち上げディスプレイを真っ白にして輝度を最高に上げる。
うん、これなら足元を照らすライトの代わりになりそうだ。
砂地にはプラスチック製の浮や発泡スチロール、漁具などゴミが散乱している。

これは別に驚くべきことではなくて、外洋に面した岩場の狭くなったところには、大概、流れ着いた夥しいプラスチック製や発泡スチロールのゴミが堆積しているのだ。
さらに奥へ入って行くと、コウモリが狂ったように顔の近くで飛び回り、その羽音に行く手を遮られる。岩の天井からは、ポタポタと水滴が滴る。
大量に堆積しているゴミをまたぐように一歩一歩注意深く進む。埃っぽくて淀んだ空気が不気味だ。

まだ、奥がある。

カヤックで上陸した浜から30mほどは奥へ入っただろうか?ようやく行き止まりまでたどり着いた。
洞窟の奥までゴミが散乱した状態で、見たところ、風葬の跡を示すようなものは何も無い。

このゴミを片付けて下の砂地を発掘してみれば、もしかしたら遺物が出てくる可能性もあるが、現状では、ただゴミの堆積している洞窟であった。
多少なりとも風葬の行われたような跡があるのかと思ったのだが…うーむ。
確かに地形的にはかなり面白い場所だ。上陸して歩いて入って行ける海蝕洞としては、
奄美近海で一番深い場所かも知れない。
またいつか来て、少し砂地を発掘してみようかな?
そんなことを思いながら、風葬跡といわれる洞窟を離れた。
外へ出て青い空が見えたら、何だかホッとしたよ。

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